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「麻生君。いいよ もう」 「京香」 「…もういい。 …それより大事な話があるから。ちゃんと二人で話をしたい」 麻生君は はっとした表情の後、私の頭を撫でた。 「...そうだな。分かった」 次に電話に向かって言った。 『切る。君には失望したよ』 冷たく言い切った彼は取り付く島もなく電話を終えた。 あっと私の口から声が漏れたけど二人の事はまた麻生君がちゃんとするだろうと思う事にする。何か聞き返さないといけない引っかかる事を言われた気がするけど、とりあえず自分の事の後始末も出来ていない私は先ずは自分の後始末から。 そして彼女も自分で後始末をしなければならないと思う。 「嫌な思いさせて悪かった」 また先に彼に言わせてしまった。 私は首を横に振る。 「....私のせいで仕事酷い事になってる?」 「..京香が今回の移動の直接的原因と言えばそうなんだが。でも結果的に移動を選んだのは自分だし上から言われなくても自分から申し出ようとしていたんだ」 「...大丈夫なの?仕事」 「まあこれを機に俺を押し退けて行こうとする奴はいる。でも俺が自分で選んだ事だ。嫌なら他からも引き抜きの声が掛かってるしどうとでもなる。仕事は世の中いくらでも有る。お前を食わせる為に、別に公認会計士以外にも食っていく道はあるから。 それより」 熱のこもった目に動けなくなる。 「京香は一人しかいない。   それはこの6年で痛いほど分かった」
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