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素早く彼に抱き締められていた。
今 私の顔は大きな彼の胸にきつくうずめらている。
「...だった?今は?」
「今も..今も好き...で」
たどたどしく答えるのが精一杯の私を翻弄するかのように答え終るのを待たずに
彼に唇を塞がれ息つく間もなく熱い舌が強引に入ってくる。
強引でも全然嫌じゃなくてむしろ私は歓喜して彼のする様子に習って迎え入れる。
上手くなんて出来ないけど下手だっていい。
今の自分の想いを伝えたい。
麻生君は性急に唇を解放し直ぐに私の頬を両手で包んで上を向かせた。
「やっとだ...!やっと。やっと捕まえた...!」
麻生君の目は赤く充血していていた。
ただ興奮しているのか泣きそうなのかは分からないけど本心で私を欲してくれていることは痛いほど伝わってくる。
私の頭をやさしく何度も何度も撫でながら
彼の唇はほんの少しだけ戦慄いている。
「....お前は今までよく頑張ったんだな。
父親の為に脇目もふらず一生懸命に。
そうそう出来る事じゃない」
そう言いながら優しく何度も何度も
浅いキスを落とす。
目尻、頬、まぶた、耳に。
何度も
何度も。
「俺はお前が本当にいじらしくてたまらなくなる。
どうしていいのか分からないぐらい可愛いいよ」
最後に唇を塞がれた。
想いもよらぬ言葉に罪深い私をいいよって許してもらったと思えて。
そんな風に見てくれる人がいるなんて思っていなかった。
以前の私なら素直に受け入れることは出来なかったと思う。でも今の私にはすうっとその言葉が水が土に染み込むように極自然に受け入れることが出来た。
彼は熱い眼差しのままもどかしそうに言葉を続ける。
「本当にかわいい。
もうどうにかなりそうだ。
京香 もっとよく顔を見せてくれ 」
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