1314人が本棚に入れています
本棚に追加
麻生優真side 自分にとって
下を向いたままで唇を強く引き締めた彼女は何も喋らない。
俺は暫く様子を見ていたがこれ以上は付き合う必要はないと思って席を立とうと腰を上げた。
瞬時に彼女は顔を上げ俺の袖を掴みもの言いたげに俺を見上げた。
「…何?」
谷口さんは思い切ったように話始めた。
「わ 私麻生さんの事がずっと好きだったんです…!」
告白の為に時間を取ったつもりはない。
「まさかそれを言うために時間を取ったのか?」
「い、いえ。そうじゃなくて…!
今回麻生さんの事を上に相談したのも麻生さんが有馬さんに関わらない方が仕事上いいと思って…!麻生さんを移動させようなんて思ってなかったんです!なのにこんな事になってしまって。申し訳ありませんでした!」
「…もういいから。俺は何を捨ててでも京香を選ぶ。もうずっと前から決まっていた事だ」
俺は決してやさしい人間ではない。
俺の事は事実だし悪意がなかったんなら別にいい。
だが、
やっぱり京香に言った事は簡単に水に流せそうになかった。
放心したように俺を見ている谷口さんに帰るよう即す。
「もういいだろ。さぁ終わりだ、これからは仕事だけでしか関わらないから」
それを仕切りの言葉にして彼女を帰らせた。
最初のコメントを投稿しよう!