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今更だが俺にとって京香以外関わりたい女はいない。
谷口さんが何と言おうと俺の心には届かない。
唯一俺をかき乱すのは…
「…大丈夫だった?」
多分聞こえていたんだろう。
「あれ以上応えようがない」
「…うん」
京香は心残りがあるように迷いながら応える。
確かに俺の谷口さんへの態度と同じように 京香に俺がこんな態度されたらと思うと辛い。
…まあ今まで似たような態度をされていた。
そんなんで諦められる訳がなく今に至り…。
今までの自分勝手な行いに何とも言えない苦い思いになる。
俺が京香を見ているとこちらを見て気遣うように笑う。
本当の笑顔が見たいのに、俺を俺だけの事を考えていると思うと愛しくてたまらなくなる。
俺は息がするのも辛くなり、深く息をついてから
そんな京香をゆっくり引き寄せてきつく抱きしめた。
自分の欲しい幸せの全てが ある。
……この腕の中に
今 ここに。
完
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