間違いの夜

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この世に二人しかいない  ーーそんな錯覚に陥りそうになるくらい静かな夜だった。 もしかして それさえも錯覚だったのかも知れない。 ただ単に 周りの音が聴こえないぐらいこの人に心を奪われていただけなのかも知れない。 前を行く 彼の後ろをゆっくりついて歩く。 しっかり繋いだ手だけが二人をつなぎ留める確かなもので...。 何故かその手が彼を信じさせた。  ...そんなに酔っていないのに。 好きでもないこの人に  私は どうしてついて来てるんだろう。 ーーーー 部屋に着いて やさしく見つめられ 少しの隙間もなく抱きしめキスをされ。 逃げる隙もなく追いつめられ性急な彼の動きについていけなくて。 付き合ってもいないのに ましてや 恋愛感情なんて持って無いのに。 彼は今凄くセクシーで。 こんなときこの人はこんなに魅力的になるんだ....。 息着く間もなく激しくキスされながら頭では色んな事を考えてる。 それでもしっかり翻弄されて。 なのになんだか急に怖くなる。 取り敢えず落ち着こうと キスをやめようとするけど どんな角度に顔を逃がそうとも相手はそれを許してくれず追いかけて追いかけて もっと執拗に貪りだす。 切なくなる程 私を追い詰めて。 う..ん... と 喘ぎながらその波に呑まれていった。
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