間違いの夜

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ーーーー 明るい日差しに 少し重たい気持ちで目が覚め ふと  なぜ 気持ちが重たいのだろう と 自然と体に力が入る。 怖々目を開けると 天井が白いという事実はいつもと同じなのに違和感を感じ。 ゆっくり目だけを動かし部屋全体を(うかが)うと  見慣れない部屋で  横には 見慣れない寝顔に 体には....初めての慣れない痛みがあった。 もう一度 白い天井を見上げながら この時 私は母を思い出しがく然としていた。 私の母はもう何年も前に男の人と出ていった。 家族を捨てたそんな母を私は 理解出来なくて嫌悪していたのに。 ...そう言うことか...。 今まで一度も思った事が無かったけれど 「私って 母親の血を受け継いでいるんだ」 ふっ と自嘲じみた笑いが浮かび。 そんなに酔って無いのに 付き合っている人もいないのに...初めてを経験するなんて。 ゾッとして。 もう二度とお酒を飲むまい と心に決めた。 そして 咄嗟に 逃げ出したい衝動に駆られるけど。 待って 私。 まだ眠っているこの人の顔だけは確認しておきたくて深く息をついてから 隣に寝ている人を見入る。 昨日の自分が信じられなくて確認せずにはいられなかった。 私の記憶が間違いでなければ...。 彼が何者なのか 明確に名前が浮かぶ。
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