間違いの夜

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こちらを向いて  いつもの見慣れた起きている時の顔よりも 無防備な顔をして眠っている。 彼の名前は 麻生優真。 同じ経済学部の一番の「有料物件」と言われ ゼミきっての秀才と誉れも高く昨日の飲み会では彼の周りに沢山の男女が取り巻いて。 感じも良くて調子に乗ったところは見たことも無くて モテるんだけど モテると言うよりは一目置かれるという感じ。 真面目そうで それなのになかなか見ない胆が据わった雰囲気で。  私は 彼から学生らしからぬアンバランスな感じの印象を受けていた。  それでもそれは好ましい印象だった。 ことのほか面倒見が良く気さくな性格で 実際に接してみるとやさしくて包容力があって。 彼女は...多分いないと思う。少なくとも大学には。 信頼してたけど こんなふうに一夜を共にするなんて 意外にも遊び人かもしれない。 でも...私だって 同じ か。  思わず自分を嘲笑い 急に冷静になった私はさっさと服を着て部屋を出た。 忘れよう  と心に決めて。 ーーーーーーーーーーーー 社会人になって彼と再会した時 なるほど と思った。 学生時代 あのアンバランスな感じが大人になるとこうなるのか。 今の彼は以前にも増して 凄いもてるだろうな 彼はエリート会計士らしく知的で少しの誤魔化しも見逃しそうにない全てを見透かすような鋭さを感じさせ   どんな相手にも対峙できるようなたくましさとでも言うのか、確かな成功者のオーラをも漂わせていた。
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