きっかけ

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私の家族は父だけ。 私が小学一年生の時 母が男の人と家を出ていってから父は再婚しなかった。 母が出ていった後  父は私の為に大手の会社を辞め 学生時代にしていたアルバイト先の紹介で家付きの喫茶店を手に入れた。 そうまでして私が寂しく無いように学校から帰った私にお帰りと言ってくれる生活を選んだ。 それは母が出ていって間もない頃 小学一年生の私が熱を出し泣いて会社に行く父を引き止めたのが原因だと思う。 小学生なら放課後児童館に行き普通に生活している子なんてごまんといる。 それなのに 甘ったれた私は結果的に父の良心につけ込んだような事をした。 高い熱が出たのはそれはしょうがないと思うけど要はそのあと。 今になって言い訳するとしたら慣れない寂しさを我慢していて熱がきっかけで炸裂したんだと思う。 心細くて寂しくて絶対に一人になりたくなくて。 覚えている記憶の中であれ程泣いた事はない。ひき止めれるなら全てを失ってもいいと、子供ながらに目に見えない何かと取引をしたかったぐらいだった。 家に居てくれる仕事に変わると知った時 心の底から喜んだ。少しの罪悪感はあったけれど嬉しくて罪悪感なんて一瞬で吹き飛んで。 ただ。ただ父の傍に居れるのが嬉しかった。
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