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第一章 夜半の邂逅 1
夜闇に色彩を添えるネオンの華やかさ、行き交う人々のにぎやかさ。
春休みを利用して帰ってきた雑踏に、眞尋は唇をゆるめる。歩きながらもリラックスして両腕を広げ、伸びをした。生まれ育った池袋はやはり落ち着く。
隣を歩く後輩の綾人が、最近の街の情報についてひととおり報告し終えたらしく「……つまり、そういうことなんすよ、眞尋さん」と、話のまとめに入っていた。
綾人には悪いが、眞尋は半分くらいしか話を聞いていない……あたりを見ているほうが楽しかった。それは察されたようで、綾人は眞尋に肩を寄せてくる。
「きーてますか?! 眞尋さん!」
「あぁ? 聞いてる、聞いてるって」
「つーか、眞尋さんの方は最近どうなんすか?」
……どうなんすかと言われても、詳細は深く教えられない。眞尋は適当にうそぶく。
「なんもねぇよ、単調っつーの?」
綾人は残念そうな、申しわけなさそうな顔をしつつ、身体の距離を戻した。
「そうっすか……そうっすよね……」
「シセツなんだから、派手な事件なんてあるわけねーだろーが……」
……真っ赤な嘘だ……。
あの場所では夜ごと様々な色恋と享楽が巻き起こる。
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