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眞尋はヤクザたちのそばに行き、睨みつけた。
「こいつらが、何したってんだ?」
ヤクザのひとりが、面倒臭そうに説明する。
「イカサマだよ、イカサマ。あり得ねぇ大勝ちしてっからよ、こっちとしては違法な遊びは取り締まらねぇと駄目ってことだ」
航大は震えながらも、小さな声で呟く。
「そ、そんなの……してません……」
ヤクザはそれを聞き逃さず、鬼の形相で航大に凄んだ。
「言いわけしてんじゃねぇ、クソガキが、あり得ねぇっつってんだろ!」
眞尋はふっと鼻で笑う。
「そんなもん、どうせ仕組んで、こいつらに喧嘩売るために、わざと勝たせたんだろーが」
先程、綾人を放り捨てたヤクザが、今度は眞尋に詰め寄ってきた。
「何だとぉ?!」
掴もうと伸びてくる腕を、眞尋は払いのけ、航大と綾人に声をかける。
「帰んぞ。お前らが脅される理由なんてねぇだろ!」
ふたりとも泣きそうな顔をして、はしゃいでいた笑顔は完全に消えてしまっている。
眞尋に従って、小走りについてくる。
「待て!!!」
ヤクザの怒声が続くが、もちろん、聞くわけがない。
しかし、フロアの出入り口付近で、思わぬ人物に行く手を塞がれた。
ピアノを奏でていたあの少年──
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