第一章 夜半の邂逅 1

4/14
前へ
/220ページ
次へ
 三人で歩きだすと、さっそく航大は提案してくる。 「先輩、パーッと遊ぶなら、闇カジノなんてどうですか?」  日本の法律でカジノは認められていないが、多くの歓楽街に存在するのも事実だ。 「最近、ある店のVIP会員権を売人から買ったんで、簡単に出入りできるんですよ! 俺の紹介なら身分証もいらないです」 (最近の売人は、そんなもんまで売ってんのかよ……)  眞尋は驚くとともに呆れた。そして、後輩たちに指摘する。 「つーか、それ、まともなもんじゃねーだろ……」  警察の密偵を防ぐためもあり、ほとんどの店が身分証明書の提出を求める。必要ないということは、航大もその繋がりも、店にとって害がないと認定されたのだろうか。  綾人は幼さの残る顔を、きょとんとさせる。 「店がっすか? 会員権っすか?」  眞尋は眉間に皺を寄せた。 「両方だって両方……」  店側と売人がつるんで、わざと『無害』な少年を出入りさせる可能性もある。  闇と名のつくものには大抵ヤクザが絡んでいる。  ヤクザはそんな少年たちに、不正に金をたかるだけでなく、脅して雑用に使うかもしれない。  たとえば、薬物の末端取引を手伝わせたり、偽造ブランド品や、銃の受け渡しをさせたり。     
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

479人が本棚に入れています
本棚に追加