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三人で歩きだすと、さっそく航大は提案してくる。
「先輩、パーッと遊ぶなら、闇カジノなんてどうですか?」
日本の法律でカジノは認められていないが、多くの歓楽街に存在するのも事実だ。
「最近、ある店のVIP会員権を売人から買ったんで、簡単に出入りできるんですよ! 俺の紹介なら身分証もいらないです」
(最近の売人は、そんなもんまで売ってんのかよ……)
眞尋は驚くとともに呆れた。そして、後輩たちに指摘する。
「つーか、それ、まともなもんじゃねーだろ……」
警察の密偵を防ぐためもあり、ほとんどの店が身分証明書の提出を求める。必要ないということは、航大もその繋がりも、店にとって害がないと認定されたのだろうか。
綾人は幼さの残る顔を、きょとんとさせる。
「店がっすか? 会員権っすか?」
眞尋は眉間に皺を寄せた。
「両方だって両方……」
店側と売人がつるんで、わざと『無害』な少年を出入りさせる可能性もある。
闇と名のつくものには大抵ヤクザが絡んでいる。
ヤクザはそんな少年たちに、不正に金をたかるだけでなく、脅して雑用に使うかもしれない。
たとえば、薬物の末端取引を手伝わせたり、偽造ブランド品や、銃の受け渡しをさせたり。
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