第一章 夜半の邂逅 3

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「おいっ、危ねぇぞっ──……理夏!」  重力には抗えず、ふたりで派手に転んでしまう。  同時にまばゆく光る夜空。少し遅れて、雷鳴も響き渡った。    ◆ ◆ ◆  神楽殿に上がり、眞尋は汚れた着物を脱いで襦袢姿になる。  その隣で、理夏はスマホをカーディガンの袖でごしごしと拭く。眞尋は画面を覗きこむ。 「やっぱダメなん?」 「あぁ……」  地面に叩きつけられた理夏のスマホは真っ暗なままで、壊れてしまったらしい。  眞尋は自分にも責任があると思い「ごめんな」と謝った。 「もうちょい、ゆっくり歩きゃよかったよな……」  さらには、ふたりとも所々を擦りむいてしまって、眞尋の膝はまだヒリヒリと痛む。 「それか……やっぱ車のそばにいたほうが良かったのかもしんねぇ」  理夏は首を横に振った。黒髪はしっとりと水気を帯びて、雫が滴る。 「いや、巻きこまれたくないし、落ち着くまでは離れてたほうがいい……」  道路の方角からいまも響いてくる、罵りあう怒声。雷雨にまみれて、さらなる修羅場となっていることは現場を見なくとも分かる。  諦めたらしく、理夏は静かにスマホを置いた。 「……静かになったら、戻ってみよう。それまではここで待機する」 「おうっ、分かった」     
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