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「俺から興味を削ぐために……刺青を入れてみた。あの豚野郎は、清楚な女がタイプだったから……簡単に俺を捨てた……ゴミ捨て場に……それからは生きるためにヤバい仕事でも何でもして、日本のヤクザと知り合ったから、梧桐一家に繋いでもらって、迎えにきてもらった」
「来てくれたのが、深瀬って若頭ってことか」
「深瀬は色々と生活の世話もしてくれて、二年経った……」
理夏はついに、膝に顔を埋めてしまった。
そして、呪うように絞りだす声。
「……どれだけ良くしてくれても、裏社会の人間は嫌いだ……どんな思いで、どんな目に遭ってきたか……あいつらが、梧桐一家の連中が、俺を尋ねなかったら、俺はずっと普通に暮らしてたかもしれない、普通に学校に行って、普通に……!!」
悲痛な嘆きに、眞尋の胸は締めつけられる、いたたまれない。
「その、爺さんと婆さんを頼ることはできねぇのか?」
心配な気持ちから、理夏の顔を覗きこむ。
「ヤクザなんかと暮らしてねぇで、育った家に戻れば──……!」
「こんな身体で会えるか……刺青だけじゃない……マフィアに汚されたうえに、生きるためなら何でもしたんだ、いっそ潔く死ねばいいものを……」
「……俺はっ……俺は理夏が、死なねぇで良かったと思うぜ……!」
思ったことを素直に伝えると、理夏はびくっと震えた。
それでも顔を伏せたままの理夏に向けて、眞尋は微笑んでもみる。
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