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「まだ会って、たった二回目だけどよ、てめぇも言ってた通り、俺たちは分かりあえるっつうか、気ぃあいそうだよな……?」
語りつつ、照れくささも感じた。
それでも眞尋は感じたことをすべて伝える。
「理夏の苦労にくらべたら、俺なんて全然だ、遊郭にいんのも自分の責任だ。……けどよ、俺だって汚れてんだからな……仕事だからしかたねぇけど、誰にでも股開いてっし、外でも警察沙汰の事件起こしたり……んで、こういうこと隠さず話せる相手なんてそうはいねぇんだ」
理夏はやっと顔を上げてくれた。乱れた前髪から覗く瞳に、眞尋は話を続ける。
「遊郭の連中でも、ヤクザの息子って知ったら怯えちまうヤツもいるし、地元戻ってもまさか花魁やってんぜなんて言えねーし──だけど理夏には、どっちも話せる。俺の全部を見せれるんだよな。だから、俺は、てめぇと知りあえてよかったぜ」
「…………」
「……少なくとも、てめぇが生きてっと、俺のためにはなるんじゃねぇの?」
眞尋は腕を伸ばして、くしゃくしゃと理夏の黒髪を掻き混ぜてやった。理夏はしばらく真顔だったが、ある瞬間に吹きだす。顔を崩して笑う理夏を、眞尋は出会ってから初めて見た。
「なんだ、それ、俺は眞尋のために生き延びたのか……」
「それだけじゃあ、まだ、生きる理由には弱えぇかなぁ……!」
つられて眞尋も笑う。
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