第一章 夜半の邂逅 1

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 詐欺の片棒を担がせるのもよくあるケースだ。  眞尋は後輩たちに注意する。 「だぁから、そういうもんにはあんま、手ぇ出さねぇほうが──……」 「着きましたっ!」  彼らはどこまでも無邪気だった。笑顔のまま、雑居ビルの前で立ち止まる。  五階建てで、表向きのテナントはスナック、フィリピンパブ、怪しげな回春マッサージ店。よくある場末の娯楽ビルだ。  建物に入っていく後輩たちの背中に、眞尋はため息を吐く。 (まぁ……俺がいたら、多少は守ってやれるよなぁ……?)  保護者のような気持ちで、後についていく眞尋だった。    ◆ ◆ ◆  航大はスマホを出して、いまから入る旨を店に伝える。エレベーターに乗ると遠隔操作で勝手に動きだした。  五階のバーがカジノの入り口らしい。店のドアは頑丈そうな鉄扉──万が一、警察にガサ入れされた際に、塞いで時間稼ぎをするためだろう。  航大を先頭に中に入ると、本当にバーでしかなかった。適度に薄暗く、席はカウンターのみ。客はいない。  バーテンはふたりで、揃いのTシャツを着ている。ヤクザと関わっているのかもしれないが、末端構成員で、下っ端だろう。ガサ入れされたときのため逮捕用の人材だ。     
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