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『いつものように全力でペダルを漕いでいた』
『……』
「?あの……?」
『この直線道路はいつも全力でペダルを漕ぐ』
この人は相づちをうたないと続きを話さないようだ。適当に相づちをうつ。
『僕は一瞬だけ自分の脚を見た。自慢の筋肉を見るために』
うわぁ……
『その日も当たり前だが車道を走っていたら、かなり前方を歩いていた女性が奇声をあげながら車道に倒れ込んできた。自慢の脚を見ていたので何があったかは分からない。距離があるとは言え、かなりスピードを出していたので驚いてバランスを崩した僕は後方から来た車に轢かれたようだ』
車と競走していたわけではない?
『あぁ!僕の自慢の脚が!自慢の筋肉が!!』
「生まれ変わったら、プロのレーサーになれるよう私も祈ります。成仏なさい」
筋肉自慢がうざく感じ始めた私は、彼に成仏するように言った。ありがとう!と爽やかに答え、彼は空に吸い込まれて行った。
彼はただ趣味を満喫し、営業の若者だけが熱くなっていたのか……。さて、女性というキーワードが出た。
だが、私が見えると気付いた集団がアピールし始めた。
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