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親方と呼ばれた男性は続ける。
『……俺らは見てたけど、俺らが言うのはちょっとな……どうせアンタは全員の所に行くんだろ?田中さんの所から見てたぜ』
どうやら私がここに来てからずっと見ていたようだ。
『まぁ俺らが言えるのは、全部見ていて驚いた拍子に足を滑らせたコイツを守るために抱きしめて、そのまま二人してドボンだ……はぁ情けねぇ……』
「確かにすごい傾斜の屋根ですもんね……」
私がなんとなしに呟くと、親方は驚いたように言った。
『あぁ、この辺の人じゃないのか。この辺は雪がすごいからな。屋根に雪が積もらないように作られてるんだよ。冬場は水田を使わないだろ?屋根の雪下ろしをしなくてもいいよう、直接水田に落ちるように傾斜がすごいんだよ。
佐藤さんのご好意で、この並びの家はみんな佐藤さんの田んぼに雪が落ちるように屋根が作られてるんだよ』
「なるほど!」
私は幽霊に、雪国ならではの屋根の作りについて教えてもらった。これも初めての経験だった。
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