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『そこで気を失ってる間に火だるまになって死んじまった……俺は、』
「なるほど……。私も運転していると、車道を走る自転車にイライラするので君の気持ちは分かる。撥ねてしまった罪の気持ちもあるようだ。もう成仏しなさい」
彼は無口そうに見えてお喋りだ。話が長くなりそうだったので、無理やり話を遮り成仏を促した。
『お、おぅ……』
彼はどんどんと薄くなり、空に消えて行った。
次にロードバイクに乗っていたであろう人物を探す。意識を集中して、辺りを伺う。
……!いた!ヘルメットにサングラス、そして上下ともにピチピチのレース用のウェアだ。体のラインが丸わかりで艶かしい。残念ながら男性だったが……。
「ここで亡くなった方ですね?何があったか教えて貰えますか?」
問いかけると彼はこちらに気付いたようだ。
『僕は休日に趣味を満喫していただけだ』
彼は答えてくれた。
『僕は休日の度にこの辺を50~60km走る』
ガチ勢のようだ。
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