3・車VSロードバイク

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3・車VSロードバイク

田中家の跡地に背を向けて、また私は意識を集中する。……!!彷徨える魂が多い!!だがここはまず、私に一番近い場所にいたスーツ姿の男性に集中する。 『やっちまった……あぁ……やっちまった……』 空を見上げながら額に手を当て、ブツブツと呟く男性だ。20代中頃くらいの年齢であろうか?話しかけてみよう。 「ここで何が起こったか知っていますか?」 ゆっくりとこちらを向き、虚ろな目で語る。 『やっちまったんだよ……』 「何をですか?」 『轢いちまった……』 「え!?ちょ…ちょっと詳しくお願いします!!」 彼はどんよりとした表情で語り始めた。 『あの日俺は、この先にある街に営業のために向かっていたんだ……前の取引先で思いのほか時間がかかってよ……遅れそうだったから急いでいたんだ……。 んで走ってたらよ、ロードバイクっての?自転車を追い越したわけよ……』 フムフム、と相づちを打つ。
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