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清潔感溢れる髪をなびかせた青年は、頬を赤く染め、皺の無いスタイリッシュなパンツに通した足で、一歩ずつ彼女の方へ近付いていく。
ショートヘアを微風に揺らせ、携帯電話を触っている彼女は、画面に向けていた顔を青年のいる方へ向けると、途端笑顔になった。そして――青年の方へ小走りで近付いた。
「まさか、これは…」
「ゼウス様ぁ、私達の願いが実る時がやっと…」
「ゼウス様!間違えなくこれは…」
神々が恋物語の幸せな結末を確信して、胸を躍らせた時――小走りで掛けていた彼女は、青年の横を通り過ぎた。
そして、青年の後方にいた男子学生の隣で止まった。
男子学生と彼女は、輝かしい笑顔で見つめ合い、手を握り合った。その二人の姿を、青年は離れた位置から眺めていた。
アポロンは月桂樹の葉を一枚むしり取り、頭を横に振った。
「青年の恋物語が…こんな結末だったなんて」
アフロディーテは、長い髪を手櫛で梳かしながら、目に涙を浮かべた。
「青年くん…一生懸命、頑張りましたね。凄く素敵になった。でも…こんな結末、辛すぎますぅ」
ゼウスは、悲観的な表情を浮かべている二人に対し、一人楽観的な表情を浮かべていた。
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