第六章 ゼウス、再び召喚する

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第六章 ゼウス、再び召喚する

「出でよ、アポロン!」 狭い室内が、フラッシュを焚いたように白く輝き、出窓から一筋の光線が伸びた。その瞬間、筋肉質で、月桂樹の冠をつけている男性が、窓を通り抜けて現れた。 「ゼウス様、出張日焼けサロンは対応致しかねます…って、アフロディーテもいるし。一体、何の会合?」 「アポロンよ、よく来てくれた。では早速、青年よ!このアポロン君に、自信が湧いてくる身体の鍛え方を習いなさい!」 「…え、ちょっと、全く話が分からないんですけど」 アフロディーテが経緯を説明してくれると、アポロンは納得したように頷いていた。これでこそ、オリュンポス十二神の太陽神ーーアポロンだ。 「話は分かった…では青年!ゼウス様の期待に応えるべく、自信がつく為に効果的な筋力トレーニング法を教えよう」 「あの、筋トレが自信と、どう繋がるのでしょうか?」 青年がアポロンに対して、対等に話している。先程のトレーニングの効果が、早速垣間見えたようだ。 「いいか、青年!筋力トレーニングは、決して一日では結果が出ない。私が持つ、この鋼の身体も、長年トレーニングを積み重ねてきた賜物だ。しかし、それが良い所だ。やればやるほど、目に見える結果が現れる。要するに、目標達成能力が高まり、それが自分自身の自信にも繋がるのだ」 「…分かりました、やってみます」 「青年!想い人の為に、格好良くなりたいか?」 「はい…少しでも彼女に近付きたいです!」 「よく言ったー!それでは早速、下半身のトレーニングから始めていくぞー!」 やはり、アポロンに頼んで正解だった。青年も、自分を磨く楽しみ、自分を否定せずに愛する事の大切さが、少しずつ理解出来てきたように思える。 狭い室内で、アフロディーテに応援されながら、青年とアポロンのトレーニングを見守るゼウス。 室内が蒸してきた頃、ゼウスの脳裏に、天空からの信号が届いた。 〈ヘラサマ カンカン デス。 イマスグ モドレ。サモナイト リコン〉
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