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村人が立ち去った事を確認した竜之介は、小雪の手を引き、ソコへ導いた。
ソコは、社改築時に遠方より呼び寄せた宮大工に、秘密裏に造らせた地下室。
社の突き当りの壁に秘密の扉があり、そこから階段を降りた先に、その部屋はある。
扉も厚く、その中で何事があろうとも、音が外部に漏れる事はない。
広さ十二畳程のその部屋の中央には、二畳敷き、三十センチ程の高さの台があった。
真っ暗な部屋に行燈の火が灯り、竜之介は小雪を部屋の中央へと手を引くと、台の上に強引に押し倒した。
突然乱暴になった竜之介に驚き、小雪は目を見開いた。
無抵抗の獲物を捕らえた狐のような目をしながら、竜之介は告げた。
「龍神様は、主との交わりを所望しておる。そして今、龍神様は私の中に憑依し、私の体を通じてそれをなすと申しておる。抵抗する事はならんぞ」
それだけ言うと、小雪の身ぐるみを剥がし、竜之介はそのまま体を重ねた。
小雪は、自身の身に何が起こっているのかも分からないまま、その痛みにただ、耐えるだけだった。
ーーその行為は、およそ二月の間、連夜続く事となる。ーー
翌日、辰の刻に村人たちは再び社を訪れた。
竜之介がその姿を村人たちの前に表すと、境内中に響き渡る声で告げた。
「昨晩、龍神様が舞い降り、小雪を連れ立って天へと昇られた。今夜中に雨を降らすとのお言葉も頂いた。皆の者、安心召されい」
「そ、それで、小雪は・・・・・・小雪はどうなったのですか」
村人たちを分け入り、竜之介の眼前に立った弥八はそう問うた。
「それは私の知る処ではない」
それだけ言うと、竜之介は社内へと消えた。
村人たちが安堵の表情を浮かべ引き返す中、弥八とお夕はいつまでも、鳥居の下で泣き崩れていた。
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