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徳川家がこの国を総ていたその時代。
ある雨の夜、ずぶ濡れになりながら歩く一人の少女。
普段は山の中から出られないその少女は、雨の日にだけ、森の切れ間まで歩を進め、大木の陰に隠れながら、懐かしくその村を覗き込む。
そこはかつて、少女の住んでいた村。
三年前のある出来事以降、少女は二度とその地に足を踏み入れることが叶わなくなってしまった。
頬を濡らす雫が、雨粒なのか涙なのか、自分でも分からないまま、少女はその時の事を思い返していたーー
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