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仕組まれた儀式
竜之介はかつて、その水使いとしての能力を買われて、この国の神官として名を馳せていた。
竜之介の神通力は本物で、雨を降らす事はおろか、地下水を染み出させる事、水流のない河川を満たすことも、或いはその逆も、彼にしてみれば造作もない事である。
しかし四年前、徳川家の転覆を目論む、ある大名の側に付いた事が早々に発覚し、国から追われる身となった。
その逃亡先として竜之介が選んだのが、ここ、満水村だった。
そうとは知らない村人達は、その荘厳な身なりから、無条件に竜之介を歓迎し、言われるがままに、東の麓にある無人の社を改築し、竜之介をそこの神主とした。
余りにも思い通りに事が進むことに、竜之介の態度は日に日に増長していく。
そして三年前、竜之介は満水村を牛耳る計画を実行に移した。
田植えの時期を見計らい、竜之介はまず山からの湧き水を止めた。
徐々に川の水が枯れていく中、次は連日晴天とした。
天の怒りかと村人たちは狼狽え、必然的に神主である竜之介に教えと助けを請うた。
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