0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
朝、起きるとお母さんの目が真っ赤になっていた。
「どうしたの?」
お姉ちゃんのソララが聞いた。
「パンちゃんがね、お空の国に行っちゃったのよ。」
と、お母さんは寝ているパンちゃんを撫でながら言った。
パンちゃんは僕たちが生まれるよりずっと前から、家にいるペットの犬だ。
「どこにも行ってないよ。そこで、寝てるよ?」
「うん。でもね、もう起きないの。これからずっと。」
「へー。なんでだろ?」
「昨日、寝るのが遅かったのかな?」
お姉ちゃんのソララが言った。
すると、お母さんが、わっと涙を流した。
僕たちは困ってしまった。
だって、お母さんがこんなに泣いているの見たことがなかったから。
「何で泣いてるの?」
ソララが聞いた。
「さみしいの。パンちゃんがお空の国に行っちゃったから。あなた達もお友達とバイバイしたあと、さみしいくなるでしょう?」
「うん。さみしいよ。」
「でも、バイバイまたねーってするから、大丈夫だよ。」
と僕は言った。
「そうね、リリク。」
と、お母さんが僕の頭を優しく撫でてくれた。
僕はお母さんの柔らかい手が好きだ。
「でも、お母さんね。パンちゃんにキチンとバイバイ出来なかったの。今までありがとうって言えなかった。だから、かなしいの。」
そう言って、お母さんはまた泣き出してしまった。
最初のコメントを投稿しよう!