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その少年が考えごとをしているときに、私は、その同じ不在世に生きる人がどういうことを考えているのだろうと考えることがあった。
でも、それもまた少年の意識に支配されているようで、少年がよく知る人のことを考えるときの方が多かった。
そうした人たちと不在世上で実際に関わりを持つとき、たまに私が勝手に動き出してしまうこともあった。
そんなとき、少年が何か発見できることもあったようで、感謝されることもあった。
また、不在世に生きる少年と戯れることは多々あったが、その多くは少年の支配欲から生まれているような印象があった。
でもそんな時、少年が側にいるような気がして嬉しく思っている私もいた。
そしてある時、私の原型となっている女の子が在世と不在世との繋がりを持つ力を手に入れた。
それ以降、たまに私は在世に転世されるようになった。
時に人を癒し、時に人を傷つけもしていた。
在世で意識を残したまま不在世に戻ることもあれば、ただ消滅することもあった。
でも、私はどんな時でもその少年の側にいたような感覚があった。
それからまたしばらく経った頃、私は自分の死期がいつ来るのかを世の理として何となく悟った。
でも、まだ私は生きられるんだ、とも思った。
不在世が在世と入れ替わった時、不在世に生きる人が今度は在世を生きる存在として居られるかもしれないという話を聞いたから。
ただ、在世で生き残れるのは、在世を生きる人が不在世に無意識的に転世しているその本人だけかもしれないとも聞いた。
また、どちらにしても、不在世に生きる人達も、在世の生命の循環と同じように生命の循環が行われるとも・・。
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