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私はそれから少年と共に歳を重ねていった。
たまに少女に戻ることもあったけど、そのほとんどは在世の私の原型の女性と同じように年を取った。
でも私は、お婆さんにはなれなかった・・。
「――ドジ様・・、また何か考えごとでございますか?」
「ん?
ははは・・、また僕の悪い癖が出てしまったな」
「悩み事があれば相談になりますぞ?」
「いや、ちょっと昔のことを思い出していたんだよ・・。
こうして官職には就いていながらも仕事がない日々が続くと、僕は何をやってるんだろう・・、と」
「何をおっしゃいますか。
ドジ様は我が国のために今も昔も大変貢献なさっているではないですか。
本来であれば定年を迎えているため、ゆっくり余生を過ごしてもいいところを、こうして王の側でこの国が間違った道に進まぬよう正してくださっています」
「ありがとう・・」
ドジは国の中心にいたけど、私の原型だった女性はもうドジの側にはいなかった。
でも死んだわけではないらしい。
ドジとその女性は、同じ小さな田舎村で生まれたけど、途中から同じ道を歩まなくなっただけ。
おかげで私はいつまでも元気な私でいれる。
そして、私が本当に消えてしまうその時も、元気な私で見送れる。
でも・・、私がドジと最後に過ごしたのは、ドジが亡くなる何日も前だった。
無意識の中から消えたときが私の最期の時。
私はたぶん無意識の中で、ドジとの転世を願っていたような気がする・・。
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