【2】~徳田真美side~

4/11
93人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
病状のこと、これからの治療のことを話し終えると、巧巳は伏し目がちに言った。 「あのさ……真美」 「ん?」 「俺……こんな病気になっちゃって……ほんとごめん」 低くくびれた抑揚のない声は、微かに震えているように聞こえる。 「なんで巧巳が謝んの?巧巳は何も悪くないじゃん」 「俺の腎臓、一生治らないんだよ」 「だからなに?」 「だからこの先も一生真美に苦労かけることになる……だからさ……」 巧巳の言いたいことは大方察しがついた。巧巳が病気になってしまったから、私に苦労かけるから__結婚をやめよう、そう言いたいのだろう。 「だから?だから結婚辞めるっていうの?」 無性に腹が立った。 十歳の頃からずっと巧巳の傍にいた。恋人として十年以上付き合ってきた。辛い時も、嬉しい時も、どんな時だって、いつだって巧巳と二人で分かち合い乗り越えてきた。 それが何?たかが病気くらいで私が結婚を辞めるとでも思ってるの?
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!