【2】~徳田真美side~

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「お母さん……」 母の言葉は私の傷ついた心を、スーっと癒してくれた。 「おばあちゃんにも、お父さんがちゃんと話してくれるって言ってたから安心しなさい」 「ん、ありがと、お母さん」 母は、ベッドに横たわる私の額にコツンと、自分の額を合わせると、 「ほら、明日も朝から巧巳君のとこ行くんでしょ?早く寝なさいよ」 と、穏やかな笑みを湛えて部屋を出て行った。 母が居なくなり、静かに閉まったドアを見つめながら思った。 そうだよね。別に結婚をやめるわけじゃないんだもんね。少しだけ延期するだけ。希望を断たれたわけじゃない。 巧巳とはかれこれ十七年も一緒にいるんだもん。結婚が一年や二年延びたって、どうってことない。 __うん、どうってことない。 少し前、私の大好きなディズニーランドのシンデレラ城の前で、巧巳は私にプロポーズをした。どんなに待ち望んでいたか。どんなに嬉しかったか、今でも鮮明に覚えている。 今はまず巧巳の病気を理解して、巧巳の心の支えになることが先決だ。 泣き虫巧巳には、私がついていてあげなきゃ。 その夜、予定よりだいぶ遅くなってしまったが、巧巳に“おやすみ”ラインをしたのだが、既に寝ているのか既読はつかなかった。 ※巧巳がプロポーズをした時の写真image=510617534.jpg
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