【Prolog】

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__小学四年の春、巧巳(たくみ)は転校してきた。 都会から田舎へやってきた彼は、当時から垢抜けていて、ちょっぴり生意気で、いつも得意気で、スポーツ万能で、あっという間にクラスの人気者になった。 ここは、千葉県鴨川市。 千葉県の南東部に位置し、太平洋に面している、所謂(いわゆる)、海の街。 私と彼は、この街で育ち、この街で愛を育んでいった。 五年生の時に彼と両想いだと知り、中学生になってから付き合いはじめ、同じ高校にも進んだ。高校卒業後の進路は別々になってしまったが、二十七歳になった今でも付き合っている。 家も近所で、よくお互いの家を行き来していた。高校生の時は、彼の家に夜中に忍び込んだりしてさ。今、思い出すと、あの時は本当に楽しかったなぁ。怖いものなんか何もなくて、思ったままに毎日を楽しく過ごしていた、青春時代。 だけど、途中、何度か別れたこともある。トータルすると三年間くらいかな、別れていた時期もあったんだけど、結局、毎回お互い元のサヤに納まるって感じで、また付き合いだして。 違う人と付き合ったりもしたんだけど、その度にやっぱり巧巳がいいな、って気づいちゃうんだよね。 私が、赤い糸で結ばれているのは、結局巧巳だけなんだって気付くんだ。 私が、この世界で最高に愛してる人は、巧巳だけなんだって気づくんだ。 ずっと、ずーっと、巧巳と一緒にいたい。 大丈夫だよね? 神様は、私の味方だよね? 私から巧巳を奪ったりしないよね? ────ねぇ、神様。image=510657804.jpg
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