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__翌日、早朝から母と父が来た。
「おう、どうだー」
父が病室に入るなりデカい声。父は昔から自営業で店を営んでいるためか、ビックリするほど声がでかい。幼少時に馬車に頭を轢かれて片耳が聞こえずらいと父は言っていたが、とにかくバカでかい声。
俺は相変わらずの父に苦笑して、
「うん、まぁまぁ」
と、答えた。
母は相変わらず心配の眼差しを向ける。姉の話だと、姉との電話でも母はメソメソしているらしい。
ぶっちゃけ、母は俺に過保護なところがある。聞かん坊の姉には両親共に厳しいのだが、そんな姉を見て育ってきた俺は要領が良く、親にあまり怒られたことがない。
「今、先生から聞いてきたけど、血圧だいぶ下がったみたいね」
母がホッとした表情を浮かべる。
「ああ、140まで下がったよ」
「良かったわね。先生が血圧が下がればクレアチニンも下がる可能性があるって言ってたわよ」
「うん、今朝の尿検査の結果が昼過ぎに出るって言ったから、クレアチニンの数値が出たら電話するよ」
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