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__退院して一週間後の夜、俺は真美の家に招かれた。
「おおっ、巧巳、退院出来て良かったな」
俺を見るなり真美のお父さんが嬉しそうな笑顔を見せた。
真美のお父さんには、昔から良くしてもらっている。何度も一緒にゴルフもした。因みに真美の三歳上の兄とはマブダチだ。
真美の兄である、徳田和矢は、今は東京に住んでいるのだが、俺の入院中も、わざわざ東京から戻り家族四人で見舞にも来てくれた。
真美の家族は、俺にとって第二の家族だった。
「巧巳君、退院おめでとうね。真美に教わって、巧巳君も食べられる料理作ったから、沢山食べてね」
真美のお母さんが、既にテーブルに並べられている沢山の料理を俺に勧めた。
「すげー、ありがとうございます」
__賑やかな食事を済ませた後、食前から晩酌をしていたお父さんが、ほんのり赤い顔で口を開いた。
「巧巳」
お父さんのいつになく真剣な顔に無意識に背筋が伸びる。
「はい」
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