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「突然の病気の宣告、辛かったな。今までよく頑張ったな」
対面に座るお父さんは穏やかな優しい笑みをたたえている。
「お父さ……」
「真美から聞いた時、まさか巧巳が、って信じられなかった。あんなに元気だった巧巳がなんでって、どうして巧巳なんだってさ。これからもお前は腎臓病という病と一生付き合っていかなきゃならない。苦労も沢山あると思う。やりたいことが何も出来なくてもどかしいかもしれない。だけど今は辛抱するんだ。頑張るとき、頑張らなきゃいけないときは今後きっとやってくる。今は、その時がくるまで回復に専念するんだ。人生、歩くスピードを落とすことも大事なんだぞ?人間はどん底を知り、回り道をしながら成長するもんだからな」
泣かないと決めたとに、お父さんの言葉が、熱意が、胸を打ち、一筋の涙が零れた。お父さんの瞳も真っ赤に潤んでいる。
俺は、涙を拭った後、崩していた足を正座にかえ、姿勢を整え、お父さんに言った。
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