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「お父さん、ありがとうございます。俺、宣告された当時、心が折れてしまって、まさにどん底って感じで沢山涙も流しました。だけど、真美が傍にいてくれました。家族も。友達も。職場の人も。沢山の人がお見舞いにも来てくれました。俺、病気になってはじめて気付いたんです。まわりにいる人たちの温かさに。自分は一人じゃないんだって気付くことができたんです。多分、病気にならなかったら気づけなかったと思います」
「そうだよ、今がどん底なら、あとはもがいて、もがいて、もがいて、浮上するしかないんだ。落ち込んでいる暇があったら、今やれることをやって、少しでも前に進める様に努力しようじゃないか。俺達も全力で巧巳を応援するからな」
「はいっ。ありがとうございます」
お父さんに深々と頭を下げた、
__その時だった。
「巧巳君」
真美の祖母がリビングのドアを開け、俺の名を呼んだ。
「あ、お婆さん、ご無沙汰してます」
俺は座ったまま真美の祖母に頭を下げた。すると、祖母は俺と真美の間にゆっくりと腰を下ろした。
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