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真美の祖母が俺の背中を擦りながら言った。
「巧巳君は今でも真美のことを好いてくれてるんだよな」
「?……はい、勿論です」
何を言いたいのだろう。
背中を擦る祖母の手の動きが止まる。
「真美のことを想うなら、真美と別れてくれんかね」
__っ!
「おばあちゃんっ!やめてよっ」
座っていた真美が、膝立ちになって声を荒げ祖母の肩を掴んだ。
__真美のことを想うなら、真美と別れてくれ……。
祖母の短い一言は、俺の胸を深く抉った。鋭いナイフで身を切られたような苦痛と絶望で、温かかった心が冷えていくのを感じた。
真美のお父さんも眉を顰め、慌てた様子で口を開く。
「母さんっ、そのことは母さんも納得したはずだろ?一番辛い巧巳君本人の前でなんてことを言うんだっ」
真美が祖母の肩を掴んで激しく揺する。
「そうだよっ、おばあちゃん酷いよっ」
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