【3】~間宮巧巳side~

11/14
前へ
/75ページ
次へ
真美の祖母が俺の背中を擦りながら言った。 「巧巳君は今でも真美のことを好いてくれてるんだよな」 「?……はい、勿論です」 何を言いたいのだろう。 背中を擦る祖母の手の動きが止まる。 「真美のことを想うなら、真美と別れてくれんかね」 __っ! 「おばあちゃんっ!やめてよっ」 座っていた真美が、膝立ちになって声を荒げ祖母の肩を掴んだ。 __真美のことを想うなら、真美と別れてくれ……。 祖母の短い一言は、俺の胸を深く(えぐ)った。鋭いナイフで身を切られたような苦痛と絶望で、温かかった心が冷えていくのを感じた。 真美のお父さんも眉を(しか)め、慌てた様子で口を開く。 「母さんっ、そのことは母さんも納得したはずだろ?一番辛い巧巳君本人の前でなんてことを言うんだっ」 真美が祖母の肩を掴んで激しく揺する。 「そうだよっ、おばあちゃん酷いよっ」
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加