【4】~徳田真美side~

3/12
前へ
/75ページ
次へ
座布団を出してくれたが、私は座布団には座らず、畳の上に直接正座した。 「あの、巧巳、どうですか?その、様子とか」 対面に座るお母さんに伺うと、お母さんは切な気に口角を上げた。 「そうね。元気ではない、かな。ほら、あの子人一倍ナイーブじゃない?」 「そうですか……」 「巧巳と何かあった?」 「……。」 お母さんには言えない。おばあちゃんが巧巳に言ったこと。 押し黙っていると、巧巳のお母さんが柔らかな瞳で私を見つめた。 「真美ちゃんには私もお父さんも本当に感謝してるの。真美ちゃんがいなかったら、巧巳はどうなっていたかわからないもの。本当は口止めされてたんだけど、二日前だったかな、真美ちゃんのお母さんから電話もらってね、話は聞いたのよ。巧巳も自分からは何も言わないし、私も知らないフリをしてるけどね」 お母さんは知っていたんだ。私と巧巳が別れたことも、全部知っているんだ。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加