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四月の末に千葉市にある腎臓専門の病院で検査を受けることになっているため、巧巳はそれまで沙理さんの家にいるという。
それまで巧巳に会えないんだ。
ショックで呆然としていると、巧巳のお母さんが口を開いた。
「もし、良かったら、真美ちゃんのお休みの時にでも沙理のとこに行ったらいいよ。沙理には話しといてあげるから」
「えっ?いいんですか?」
行き止まりだと思っていた眼前に、ぽっと灯がともった。
「ええ、勿論よ。巧巳も強がってるだけで、心の底では真美ちゃんに会いたいはずだから。でもね、真美ちゃん。真美ちゃんのお婆さんの気持ちもわかってあげてね。私もお父さんも、巧巳の病気のことで結婚を反対されても仕方ないと思っているの。苦労が目に見えた結婚だもの、どんな親だって反対するわ。それでも真美ちゃんは今でも巧巳を想ってくれてる……感謝してもしきれないわ。真美ちゃん、本当にどうもありがとうね」
お母さんは再び涙を流した。
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