【1】~間宮巧巳side~

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__「あー、眼底出血してますね」 白髪混じりの年輩医師が、俺の目が映し出された眼底カメラを見ながら眉を(しか)めた。 「眼底出血?」 はじめて聞いた言葉だった。 「眼球奥の網膜の血管が破れ眼球内で出血しています。間宮さん、糖尿病ではないですよね?」 「はい」 糖尿病なんて家族にもいないし、勿論、俺もそんな診断は受けたことがない。 医師は、顎を擦りながら数秒考えた後、口を開いた。 「だとしたら、高血圧、貧血、白血病、腎臓病などの他の病気の可能性が考えられますので、早急に大きな病院で見てもらった方がいいかもしれません。眼底出血は目で起こる病態ですが、原因は他にあることが多いので」 「……わかりました」 左目に眼帯を巻かれ、片目で運転しながらなんとか帰宅した。 帰宅して真美にラインで眼底出血したこと、高血圧や白血病などの他の病気が原因である可能性があることを伝えると、すぐに真美から電話が掛かってきた。
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