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『もしもし、巧巳?眼底出血って大丈夫なの?』
真美はあからさまに動揺しているようだった。
「ああ、なんか急に左目の視界がぼやけちゃってさ。大きい病院で一度検査した方がいいって言われたよ」
『そしたら、いますぐうちの病院に来なよ。こっちで話はつけとくから』
真美は鴨川市内の亀戸総合病院で医療事務として受付で働いている。因みに俺の姉も亀戸病院で子供を出産したし、祖母もお世話になっている大きな病院だ。
「わかった、今から向かうわ」
俺の両親は地元で鴨川の地魚をメインとした割烹料理を営んでいる。以前は、昼間も店をやっていたのだが、歳をとった今は夜だけ店を開けているため、両親ともに昼間は比較的自由な時間が多かった。
その時も、幸い母が自宅にいたため母に車の運転を頼み、亀戸病院へと向かった。
__この時、まさか自分の身体の中に大きな病が潜んでいるなんて思ってもみなかった。
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