第壱

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「なんでこんなことになっちゃったかなぁ…」 大きなキャリーバックを片手に、山道を歩くこと早1時間程。 「あっつーい。かえりたぁーい!」 その言葉に、もちろん返事はない。 季節は7月。こんな真夏にこんな山道を歩いているのにはちゃんと訳がある。 母の実家が神社であり、おじいちゃんっ子だった雛乃はよくお手伝いをしていた。 大きくなるにつれて、時間がある時や、年始などは巫女として働いていた。 そんなことを続けていたのだが、本格的に巫女として勉強してきてはどうか?と親戚が集まった酒の席で話題になったのはまだ記憶に新しい。 その時はお酒も入ってるし、冗談だよね。なんて軽く思っていたのだが。
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