第壱

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「ここ…かな?」 漸く見えた階段を見て軽く溜息を付く。 「100段くらいありそう…だよね」 と、言っても登るしかない。 既に体力はほぼ残っていないが、気力だけで一歩、また一歩と確実に登っていく。 階段を3分の1程登ったとき、不意にポケットからの僅かな振動に足を止める。 おじいちゃんからのlineだ。 ー駅からバスで20分くらいじゃから気を付けてのぅー 「もっと早く教えてほしかったよ、おじいちゃん…」 そうポツリと呟いたとき、視界の先でなにかが動いた気がしてふと視線を上げると、黒猫がこちらをじっと見ていた。
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