第弐

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    「ここは壬生寺だけど?それより何でこんな所で寝てるんだ?」 壬生寺と聞いて雛乃は京都へと来た事を思い出す。 けれども雛乃がいた場所は壬生寺よりも遥かに遠い山の奥だったはず。 そして何より、階段から落ちた筈だった。 「えっと…私、ここで寝てました?」 「うん、そうみたいだよ?巡察帰りに子供たちが騒いでたから来てみれば、お前がここで寝てたんだよ」 はて。何がどうなって私はここに辿り着いたのだろう?そして、階段から落ちた筈なのにも関わらず、どこにも怪我は無く痛みもない。 それにしても。初対面の女の子に向かってお前とは些か失礼ではないだろうか?そんな事を考えていたのだが、目の前の彼は無言を破る。 「なぁ、その格好なんだよ?お前もしかして長州の奴か?」 「長州?」 長州と言えば江戸時代の藩の事だろうか?現在の山口県にあたり、明治維新に深く関わりのある藩だ。それとも、京都に長州と言う地名があっただろうか? 「あぁ、最近京の町を彷徨いてるって話だからな。」 長州…京の町… そして、始めに抱いた違和感に漸く気付く。
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