雨が降る中で、彼女は

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 ……なんだ、眠っていなかったのか。  全く……本当に君らしいや。  だけど、それを君が言うのかい?  ねえ、僕の大好きな嫁の――『(さち)』?  それを言うことは、君がいつまでも僕に付きまとうことになるんだよ?  本当に……何処か抜けたところは、死んだ後でも変わんないんだね。  本当に……泣かせるね……  雨粒が僕の顔に当たって。  涙なのか、雨なのか分からなくなってしまった僕の顔。  でも、雨で良かった。  こんな顔を、幸に見せるわけにはいかなかったから。  ああ、本当に。  雨は……嫌だなぁ。
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