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彼女はある日突然――寝ている間に心臓発作を起こしたらしく。
僕との別れの言葉を言う暇もなく――この世を去った。
それからと言うモノ、僕はいつも嫁の姿を追いかけ続け。
半年が経った今でも、毎週のように嫁が寝ている墓に足を運ぶ。
ただ顔を見せるだけ……ただ自分の満足を満たすだけのそれは。
でも、せめてあともう少しだけこうしていたいと思ってしまう。
「――そんな顔をしないでよ。こっちが悲しくなるじゃん」
そう――いつまでも嫁のことを悔やんでいたら前に進めない。
でも……それでも、立ち直るのには時間がかかる。
この墓参りもそろそろ止めなければいけない。
だけど――『いつまで?』と言う考えが数週間前に急に頭の中に浮かび上がって。
僕は――もうこの墓を見る事さえ辛いのだと悟り。
この街から……離れることにした。
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