夕暮れ時

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それから、私はしばらくの間二人と情報交換をした。 ここは祖母の生まれた家だ。 その頃は祖母を含め、この辺りに住む子供には皆二人が見えたのだという。しかし、基本大人になるにしたがって、皆二人を認識できなくなってくる。しかも、日本は少子高齢化に、地方の過疎化が進んでいる。 二人が話せる相手は近所の犬猫、山にわずかに残る妖怪だけになってしまったのだという。 『だけど、最近あれね、おばあさんがよく、なんだか箱の中で人がくるくる動くのを見てるんだけど、そこにいる子供も私たちが見えてないみたいなのよね』 「ミコトさん、多分それテレビ。 実際にそこにいる訳じゃなくて、映してるだけだから、向こうはこっちのこと見えてないよ」 なんというジェネレーションギャップ。 二人はテレビすらよくわかっていないのだ。 私が普段住んでいる町の電車や街頭掲示板、パソコン、スマホのことを話してみたら、目を白黒させた後に、 『なにそれ、見てみたい!』 と言っていた。
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