第4話

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「……他人に掛ける方が高位、だよな? 」 「うむ、先代の魔法使いですら無声までは手に入れてはおらん。……何故そんなことを? 」 私は重い口を開いた。 「……私は距離は短いとはいえ、オヤジに外に一瞬で出された」 息を飲む音が微かに聞こえる。 「……なんであの役たたずだったはずのオヤジが高位魔法が使えるのか。腐っても勇者だからだと軽視していた。しかも、この残念装備まで着せ替えられてだ」 村長は難しい顔をして口を1文字に結んだまま、何かを考えていた。 ややあって。 「……何も浮かばん! 」 椅子から落ちそうになった。 まぁ、そうだよな。 「50余年あったんだ。どこかでなんかしらしていたのかもしれん」 まさかなー、速攻引退したくせに虎視眈々と魔王退治を目論んでいた……ならば、押し付けたりしないはずだ。 母さんに逃げられたりもしないはずだ。 因みに疑問に思っているだろう伏線を一つ、回収しておこうか。 《隣村に里帰り》しているはずの母さんは? と思うだろう。 考えてみてくれ。私の村が端にあるとは一言も言っていない。 則ち、両隣があるわけだ。 こっちは徒歩で易々と着けるくらいの村。 逆隣は徒歩で行けば3日掛かる。 母さんは安馬車でも雇っている筈だから、軽く見積もっても1日馬車に揺られるわけだ。 昨日の夜まではいたから、少なくともまだ馬車の中だろう。 帰ってこない可能性が高いのは、結婚してから1度だって帰っていないからだ。 よく50余年もあのオヤジに連れ添ったよ。 お疲れ様と言いたいよ。 てことで、本題に還ろう。
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