第2話

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世襲勇者制度、それはこのダレングルニアとかいう1回聞いただけでは忘れそうな国の初代国王が設置した制度だ。 各村で選ばれた家系が代々役職を受け継ぐ。 私の村は奇しくも勇者で、私の家系が選ばれた。 要するに、お膳立てされたパーティで在り来りな魔王退治をする、実にシンプルな掟なわけだ。 しかし、事もあろうにうちのオヤジはそれを投げ出した。20歳で! 子作りに励み、3人の子宝に恵まれた。 役目も果たさずに。 私はモテた。自画自賛ではなく。 姉貴には誰も言い寄らなかった。オヤジに似てたから。 自慢にしたくはないが、私には毎日のように男が群がった。 「大きくなったら結婚しようね(はーと」と約束までしたのもいた。 だが、アイツは私と目を合わせることなく、……姉貴と結婚した。 姉貴はアイツのことが好きだったから。アイツは私を好き、そう言っていたけど。 オヤジがやかましくなったのは、兄貴がお腹のデカい嫁さん連れてきてからか。 次の日からパッタリと誰も寄りつかなくなったんだっけ。それから逃げて引き篭もって10余年。 誰も信じたくなくなった。 このまま王都に殴り込みにでも行こうか。こんなクソ下らない制度なんて無くしちまえ、と直談判しに。 そう思いながら、足は隣村に向かっていた。
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