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世襲勇者制度、それはこのダレングルニアとかいう1回聞いただけでは忘れそうな国の初代国王が設置した制度だ。
各村で選ばれた家系が代々役職を受け継ぐ。
私の村は奇しくも勇者で、私の家系が選ばれた。
要するに、お膳立てされたパーティで在り来りな魔王退治をする、実にシンプルな掟なわけだ。
しかし、事もあろうにうちのオヤジはそれを投げ出した。20歳で!
子作りに励み、3人の子宝に恵まれた。
役目も果たさずに。
私はモテた。自画自賛ではなく。
姉貴には誰も言い寄らなかった。オヤジに似てたから。
自慢にしたくはないが、私には毎日のように男が群がった。
「大きくなったら結婚しようね(はーと」と約束までしたのもいた。
だが、アイツは私と目を合わせることなく、……姉貴と結婚した。
姉貴はアイツのことが好きだったから。アイツは私を好き、そう言っていたけど。
オヤジがやかましくなったのは、兄貴がお腹のデカい嫁さん連れてきてからか。
次の日からパッタリと誰も寄りつかなくなったんだっけ。それから逃げて引き篭もって10余年。
誰も信じたくなくなった。
このまま王都に殴り込みにでも行こうか。こんなクソ下らない制度なんて無くしちまえ、と直談判しに。
そう思いながら、足は隣村に向かっていた。
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