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徒歩でおおよそ1時間たらず。似たような風景の隣村。そこが剣士に指定された村だ。
周りは2メートルない針葉樹に囲まれ、凹凸のすくないクリーム色の土畳。柔らかそうな材質の石で作った道。等間隔にある何の変哲もない家屋。
モンスター1匹すら出会わず辿り着いた私に待っていたのは、驚愕の事実だった。
「すまないな。次代はこの孫なのだよ」
隣村の村長がモフモフの髭をわちゃわちゃされながら言う。言わずもがな、その絶賛モフモフしている子どもこそが世襲剣士殿らしい。10歳に満たない少年だ。
話を聞いたらしい、息子さんがややあってやってくる。
「ごめんね? 10年前ならまだカミさんに出会ってなかったんだけど」
同年代か少し若いくらいの、ムカつくほど爽やかな青年が悪びれずに頭をかきながら笑っている。
この村は村長の家系だったのか。
「掟とは言え、……連れていくのかい? 」
不安そうな顔をされた。まだ小さいのにと目で訴えている。
待て、こんな小さな子どもを連れ歩いたら私が不審者に思われるだろ。
「……10年早ければなぁ」
その頃には押しつけが始まっていた。罪悪感に苛まれるが、私は悪くない。
「これもお宅のオヤジさんが原因だ。あんたは悪くないよ」
憐れみの視線があちらこちらから感じる。
やめてくれ、早くここから抜けだしたい。
「私が強く言ってやれていればよかったんだがね。アヤツは変にプライドばかりが強くて……」
「へ? 」
オヤジを知っている?
「前パーティの剣士は私だったのだよ。お父上が22で魔王討伐を果たした。『だったら、自分はそれより早く討伐する』と息巻いていたよ。……しかし、やめた20歳のときヤツは言った。『あと2年じゃオヤジに勝てない。勝てないならやめるわ』と」
あんのクソオヤジぃ!
「勇者がいないパーティでは魔王討伐をしても意味が無い。情けない話だが、解散してしまった」
すべてクソオヤジの下らない見栄の所為だった。
「うちのクソオヤジがすみませんでした! 」
頭なんか下げたくないが下げなければ気がすまなかった。
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