1・スマホ小説始めました

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 「さっき、文法作法って一人で呟いてたじゃないですか」  「ああ、それは」そこまで言いかけたが、慶太郎は家族で決めた約束を思い出すと「どこの家庭でも似たような問題だと思うけどね」  「そうですよね。独身の私が言うのもなんですが、本田さんは本田さんしか出来ないことをしてあげたら良いと思いますよ」  「ぼくにしか、出来ないこと?」  慶太郎は、ぴたりと足を止めた。  投稿小説の家族共著を通して、自分にしか出来ないこと。挿絵や子供たちが書いたものについて加筆修正させることがそうなのか、しかしそれなら作文の加筆修正とたいして変わらない。 三ページまで挿絵や子供がフリーダムに執筆したのだから、ここまで来たら何があっても最後まで自由に執筆させてみよう。  これで読んだ読者がどうするかは、分からないが、それはどのジャンルを書いても結局は同じことになる。 評価されて喜ぶのも、評価されず凹むのは自分一人じゃないし、もっと面白い作品にしようとモチベーションも上がるだろう。投稿小説サイトでクリエーターがエタっているのは結局一人だけで書いてるからだ。 家族共著なら、そのデメリットを克服出来る筈だ。  「本田さん、どうしたんですか。朝礼に遅れますよ!」  新城が会社のロビーから声をかけて来る。  「きみの言う通りだ、今行くよ!」  慶太郎は、意を決したようにロビーの方へ走っていった。
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