9人が本棚に入れています
本棚に追加
「やったー!」
優也と優成は声をあげて歓喜する。
「子供たちは説得出来ても、私はイエスとは言いません、それでもやると言うのなら......」
別れます。と言い淀んだが、投稿小説が原因で離婚するのは大人げない。そう感じた挿絵は言葉を変えた。
「私のメリットはなに?」
「お金が手に入れば、この子達の養育費や生活費が助かるだろ? 挿絵だってパートじゃあベースアップやボーナス無いんだし、お金がカツカツじゃないか」
「パートを馬鹿にした?」
「してないしてないっ!」
「正社員だって、何年経ってもうだつがあがらない子はいるのよ。それと比べたら私なんてマシな方だと思いますけど、あなたには分からないわよね?」
「それ言われると辛いな」
「最初に言ったけど、私は時間がないの。そこをどうするつもり?」
「無ければ、書けるものにザッと書いて置いてくれたらぼくが代筆するよ。メールでもラインでも紙でもなんでも良い」
「分かった、その気になれば"家を出ます、探さないで下さい"と書き置きしてあげる。もし授賞出来なかったらどうする気?」
「どうするって......」
授賞するまで続けるしかない。と言うのが慶太郎の考えだが。
「先の事ばかり考えるのはよそう。それより、投稿小説を通じて子供たちにものを作る本当の楽しさを、まずは知って貰おう」
「ママだけ仲間外れはいやだよ」
「ママも一緒にやろうよ」
優也と優成は、挿絵の細い脚にしがみついて懇願した。
「しょうがないなぁ。ママもするか!」
最初のコメントを投稿しよう!